タイで毎年開催されるThai Jet Sports Boating Association(以下TJSBA)主催の「Jet Ski World Cup(通称キングスカップ)」、当該イベントへの参戦を紹介する記事の第2弾だ。
前回の記事では「参戦までの経緯」をご紹介した内容だった。
→Jet Ski World Cup 2019@Thailand-1/3
本記事はその後、実際に参戦することになった場合の「参戦・渡航準備編」をご紹介する。
まずほとんどの情報がネットで入手できる!
そしてこのジェットスポーツ業界に限っては、「Facebook」にアクセスすることをお勧めする。理由は定かではないが、「ジェットスポーツユーザーの多くがFacebookを利用」しており、ほとんどのイベント情報がここに掲載され、そして入手できるからだ。まだアカウントをお持ちでない方は、これを機会に登録してみてはいかがかな!?
→Facebook
→Jet Ski World Cup Facebook Page
さて前記事でもご紹介したが、参戦には
- 国別推薦枠ありのクラスへ、国内団体からの推薦での参戦
- 自由参加可能クラスへの個人での参戦
~の2通りがある。いずれのクラスに参加するにしても「やることは同じ」なので参考にしてほしい。
まずは資金面、海外へライダーの渡航とマシン輸送、そしてエントリーフィーや滞在費が最低限必要となる。その時の物価や参戦クラス・エアー(航空会社・離発着場所)や宿泊先のレベルによって上下するが、参戦ライダーにおいては最低50万円ほど用意しておきたいものだ。次に詳しく見てみると
- マシン
┗輸送手配
┗海外レギュレーションへの対応
┗現地で使用する燃料の入手方法や購入手段
┗スペアパーツ準備
┗運搬用型枠の用意 - ライダー
┗エントリー
┗エアーチケット予約
┗宿泊予約
┗移動手段(空港~現地間)
┗移動手段(現地で)
※そのほか、通常の海外旅行時に必要なモノ(海外用携帯・レンタルWi-Fi・渡航保険など)
~などの準備が必要となる。またレース参戦にはライダー単独だと困難なので、「サポーター・メカニックを務めてくれる仲間を募る」ことを強くお勧めしたい。
マシン運搬に関しては、先輩ライダーなどから情報を聞き出し、その年に運搬を引き受けてくれる業者に依頼するのが手っ取り早い。通常はコンテナに複数台を混載するので、輸送費を割り勘にできてお財布の負担も軽減される。コンテナに納まる台数には限りがあるので、運送の決定と依頼は早めに行うほうがイイだろう。運搬の際にマシンは「型枠」に入れて持ち込む、出し入れの際や重ねての積載の際に便利なようにである。型枠を用意しないと運搬を引き受けてくれないケースもあるので、必ず用意したい。コンテナに積み込む作業、通称「バン詰め」は、指定された日時と場所で一気に行われるケースがほとんど。タイの現地では、現地協会であるTJSBAが用意した業者がコンテナを会場近くまで輸送してくれている。ライダーは現地到着後、コンテナから自分たちでマシンを降ろす作業を行うのである。レース後の帰国時にはこの逆の作業を行い、帰国後、再びバン詰めを行った場所へと引き取りに行くというわけだ。
次にライダーの渡航に関して説明しよう。
手順としては
- 渡航スケジュールの確定
- エアーチケット・滞在先の予約
- 移動手段の確保(ハイヤー・レンタカー・レンタルバイク)
~となり、この合間でエントリー手続きが必要になると思われる。エントリーはネット経由の「エントリーフォーム」から申し込み、エントリー代は「現地で現金」にて支払う方式だ。日本人の多くが参戦するクラスが木~日曜に開催されるので、やはり海外戦だけに余裕を持ったスケジュールを組んで現地入りしたいところだ。またレーススケジュールは毎年変動するので、それを見越したスケジュール調整が必要だ。そして多くのライダーたちが「せっかくタイまで来ているのだから」ということでレース期間の前後に観光を盛り込むケースが多い、観光名所の多いタイなので、ぜひとも観光も楽しんでほしい。
→タイの観光情報
出発地によって時間帯は異なるが、昨今の風潮として「深夜便でのフライト」が人気。多くの航空会社がタイには乗り入れているので、価格やサービス・付加されるポイントなどのサービスを加味して選びたい。キングスカップのスポンサーには、タイを代表する「タイ国際航空」が名を連ねているので、せっかくだから利用するのもイイだろう。筆者も数回利用してきたが、スタッフの質・サービス・設備、どれをとっても申し分なくお勧めである。
→タイ国際航空
タイと日本の時差は-2時間、タイに早朝便で到着できれば、1日を有意義に使うことができる。現地主要空港であるバンコクのスワンナプーム国際空港からレース開催地であるパタヤまでは車で約2時間程度。
→スワンナプーム国際空港
→スワンナプーム国際空港~パタヤの道のり
出国がスムーズに行われれば、お昼前後には現地入りできるというわけだ。宿泊先のチェックインは午後からという施設が多いので、ちょうどタイミングの良い時間帯に現地到着できる。バンコクにはスワンナプーム国際空港のほかに、ドンムアン国際空港というものがある。ハブ空港となるスワンナプームに対し、LCC系が集結するドンムアン、利用する便によって到着地が異なってくるだろう。ドンムアンからパタヤ、こちらもスワンナプームからとの所要時間は同じく約2時間程度だ。
→ドンムアン国際空港
→ドンムアン国際空港~パタヤへの道のり
宿泊先の件だが、TJSBAでは「オフィシャルホテル」という存在を設けている。ここ数年は「D Varee Jomtien Beach Pattaya Hotel」という施設で、ここの駐車場にマシンのコンテナは運び込まれる。会場近くで最も規模の大きなホテルなのだ。
→D Varee Jomtien Beach Pattaya Hotel
観光地なので近隣にも多くの宿泊施設が存在するが、コンテナとのアクセス・部屋数・外国人向けの食事メニューなどなど、ほとんどの参加選手がこのホテルを利用している。ただし「お値段はお高め」「レース会場とは少し離れている」ので、「もっとリーズナブル」「会場の近く」「タイならでは」という内容を希望するのであれば、色々と物色してみるのも楽しい。日本人ライダーもこのホテルだけにかたまっておらず、各々好みの滞在先をチョイスして滞在期間を過ごしている。ただし大会への参戦が初めての場合、やはり関係者の多くが滞在するこのホテルを選んでおくと、色々な情報や動きが察知できるので安心感がある。「タイ料理が苦手」という方にとっても、ここのメニューは安心して口にすることができる。近隣にはタイ料理店も多数軒を連ねているので、その気になれば現地食にもチャレンジ可能。逆を言えば「タイ料理がほとんど」なので、「タイ料理が苦手な方はオフィシャルホテルをセレクト」するのが賢明だろう。ちなみに筆者は「タイ料理Love」なので、率先して近隣のソウルフードに挑んでいる!
次に準備が必要なのが「空港~パタヤ間」の移動手段。
大きくは2つ、「ハイヤー」「公共機関(タクシー・バス)」となる。ライダーは参戦のために手荷物が多くなりがち、しかもサポーターたちとの団体移動が基本となるので、大半は「ハイヤー」の利用がメインとなる。日本でもお馴染みのハイエースが主流で、~約7名+荷物が1台で賄われるため、ここでも割り勘→節約となる(空港~パタヤ間で約5000バーツ+ドライバーへのチップ/1台)。ドライバーには行き先が伝えられているので、何の心配もなく目的地へ送り届けてくれる。ハイヤーには乗車人員に合わせた車種設定もあるし日本語対応の業者もある、少人数でも対応はしてくれるのでありがたい。
→タイのハイヤー予約サイトリスト
次にタクシーの場合。空港には多くのタクシーが乗客待ちしているのですぐに見つかるし、ドライバーは観光客を見つけては「手招き」するので探す手間もないだろう。しかし外国人にとって、タイでのタクシー利用には知っておくべき注意点がある。日本と同じような感覚でいると、少々痛い目にあう可能性もあるが、何事も「慣れ」なので上手に利用できればリーズナブルだし便利である。下記のリンク先を参照して利用を検討していただきたい。
→タイのタクシー事情
そしてバス移動、これは筆者も利用したことが無いので詳しくはご案内できない・・・下記サイトを参考にご判断いただきたい。
→タイのバス予約
次に段取りしておきたいのが「現地での足(移動手段)」だ。
現地での移動には「レンタルバイク」「レンタカー」「ソンテウ(タイの町中を流す乗合タクシー)」がある。タイにはこのほかに「トゥクトゥク」という3輪車があるのも有名だが、レース会場近辺では数が少ないうえに「結構なお値段」なので、気が向けば利用する程度にとどめておこう。
まず現地の車事情だが、とても混んでいるうえに駐車スペースが少ない。ということもあり、ライダーのほとんどが「レンタルバイク」か「ソンテウ」を利用している。レース会場への移動や、その他の移動には前記の2パターンがお勧め。ただしレンタルバイクは100㏄以上のモノが中心になるので、日本でいう「中型バイク免許」以上が必要となる。そして特有の注意事項があるので、事前にチェックしておきたい。またネットでは日本語にて「事前予約できるサイト」も存在する、現地到着後にレンタルバイクショップを探して借りるのも手だが、ことレース期間中は多くの関係者で在庫薄となるので、事前に予約しておくことが大事だ。
→タイでのレンタルバイク注意点
→タイでのレンタルバイク予約サイト
ソンテウ利用には特に注意点はないが、「どのように利用するのか」は知っておく必要がある。「目的地を伝えて値段交渉(定額でない/ドライバーによって言い値が異なる)」「降車前にベルを鳴らす」「トラックの荷台のオープンスペースに乗る」「たまに乱暴な運転をするドライバーに巡り合う」など、結構スリリングな体験を味わえる。またソンテウには「自動車タイプ」「バイクタイプ」が存在し、バイクタイプは「1名のみ」に対応してくれ、料金もお得、いわゆる「2ケツ」というスタイルだ。「タイに来た感じを味わう」という上では、一度は活用してみたい存在だ。
→ソンテウの利用方法
あと一部のライダーが対象となるだろうが、現地でのマシン燃料の入手に関してだ。
タイにも普通にガソリンスタンドが存在するので「ガソリン自体」は簡単に入手可能、問題なのは「品質とオクタン価」なのだ。日本と同じ感覚で燃料を購入して使用すると、マシンに不具合が発生する可能性がある。せっかく海外にまで来て、そんなことで困りたくはない。そこでポンプガス(市販燃料)を使用するライダーは、事前に信頼できるブランドのガソリンスタンドを下調べしている。またレースガソリン(高オクタン価燃料)を必要とするライダーにおいては事前にオーダーをして、現地で受け取るというシステムを利用している。少々値は張るが、安心してマシンを走らせることができるので覚えておこう。ちなみにレースガソリンは、「エタノール~ハイオクレベル」まで入手可能。現地で入手できるレースガソリンブランドとしては「ETS」「VP」「PTT」などだ。
そして最も?必要なのが「軍資金」の準備、タイ通貨への「換金」だ。
タイの通貨は「バーツ(THB)」、換金レートは1THB=3~4円の間を推移している。ここのところTHBが強くなってきているので、換金レートは下がってきてしまっている。しかし物価が安いので、やはり現地価格はお得に感じてしまうだろう、しっかりと「財布のひもを縛って」おかないと、ついつい使い過ぎてしまうのでご注意を・・・
→THB換金レート
換金は「日本国内の銀行・空港」「現地の空港・換金所」などが一般的だが、昨今では日本国内で「現金を振り込み→THBが現金書留で送られてくる」というシステムもある。現地でも換金できるので、直近までレートと「にらめっこ」しながらタイミングを見計らい行うと良いだろう。
以上が「渡航に際して事前準備しておくべきこと」になる。ただしこれは「筆者が必要と感じる内容」となるので、まずは最低限上記を覚えておき、それ以外にご自身で必要だと思うことを追加していただきたい。
最後にタイの共用語はタイ語になる。英語を話せるライダーがほとんどだが、やはりタイ語が大半で日本語は「まず」通じないと思っていた方が賢明。英語を習得するか、もしくはタイの日常語の本など、またはスマートフォンの翻訳アプリや同時通訳機能を持ったガジェットを使いこなせるようにして行こう。
第3弾の次回は「現地での過ごし方」について記載するのでお楽しみに!